件名 おはー♪
From 真紅
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くんくーん♪
この間すごい発見をしたのだわ!
ウーロン茶に炭酸水を混ぜると、何と水銀燈もぶっ倒れるほど素敵な味になるのだわ……!
まさに画期的大発明☆
名づけてウー酸茶なのだわ♪
くんくんも一度(対ペロリーナ男爵用に)お試しあれ☆

 

件名 Re:おはー♪
To 真紅
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はい

 

件名 くんくんの活躍
From 真紅
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ひゃぁぁぁぁ〜ん
今日のくんくんもドッキュン(はーと)痺れる活躍の連続だったのだわ〜
特にくんくんが敵の無能ヒョン酋長にデスクロー → フランケンシュタイナー → 竜巻旋風脚の流れはもう最ッッッッッッッッ高だったのだわ♪
余りの格好良さに、さっきからビデオをダビングしまくり☆
そろそろ50本目に差し掛かるのだわ(*ノωノ)

 

件名 Re:くんくんの活躍
To 真紅
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ひょんなことからラムチョップ

 

携帯の予測変換辞書から適当に選び入力、そして送信する。
その直後、毎度おなじみの絶叫が聞こえてきた。
つまるところ、返事の語句は何だっていいのだ。
僕が何を書こうが、場合によっては何も書かずに送り返したとしても、真紅はその余りある妄想力で巧みにカバーし、5行だの10行だのと自らの妄想の産物
を書き連ね送り返してくる。
このシステムは僕にとって非常に楽だ。
一時期は着信音が鳴るだけで僕の心は乱れ、呼吸も乱れ、心音も乱れ、顔面は蒼白になり、脈が止まり、とノイローゼにまでなった程だった。
けれど、物事は何事でも発想の転換次第でどうとでもなるものである。
僕はそれに気づけたことが、唯一の幸運といえるだろう。
要するに真紅がメールに何を書いてこようが、僕自身がその内容を軽く流せばよい≠フだ。
愛してる、結婚しよう、新婚旅行は玄界灘で、等の文句ももう見慣れた。
適当に返せばいい。
わざわざ危険を冒してまで、復讐することなんてないじゃないいか。
メールを始めた当初の目的は果たせないけれど、それも今となってはどうでもいい。
もういいんだ。
これでいいんだ、ジュン。

『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ……』

僕が密かに人生に一区切りつけていると、例の呪怨ヴォイスが流れ出した。
ベッド上に小さく折りたたまれた携帯は、小刻みに振動しつつおよそ着信音には相応しくない呻き声を発している。
真紅からのメールだ。
今回も僕は余裕だった。
心音が乱れたり、呼吸困難に陥ったりする事もない。
大丈夫、僕は大丈夫。
涅槃の世界を垣間見た僕は、とても晴れやかな気分で携帯を手に取った。

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

今から言うことを実行して欲しいのだわ♪
まず最初に、鏡を用意してくださる?

 

「鏡……?」
そう言われても生憎、この部屋には鏡が無い。
無視しても良かったのだが、僕には何があろうと取り乱さないという自身があったため、あえてメールの指示通りに鏡――1階に下り、鏡の部屋の大鏡の
前に立った。
返信を打とうと携帯をポケットから取り出したところで、タイミングよく振動と共にあの呻き声。
真紅からの2通目のメールだ。

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

次に鏡を覗き込んで……うん、くんくんの姿が映るでしょう?
それを、私だと思ってみて?

 

変なことを言い出すヤツだな、と思った。
この僕を、金髪で全身真っ赤な変態ドールと思えだって……?
フン、と鼻で笑い、鏡の中のおよそ真紅とは似ても似つかない少年を一瞥。
こうして見てみると、なかなかいい男じゃないか。僕は。
その時3度目の振動が起き、僕は視線を手元に落とした。

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

じゃあ次、右の手のひらを後頭部に当てて欲しいのだわ。

 

言われた通りに、右手を後頭部に当てる。
「体操でもするのか……?」
真紅の意図が全くわからない。
だが僕は取り乱さない。
続けて4通目のメールがきた。

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

次に、左手を腰に当ててくださる?

 

同じく言われた通りにする。
体操にしてはどこを解すのかわからない、何だか不思議な体勢だった。
そして5通目の着信。
左手を腰に当てつつ、何とか携帯を操作してEメールフォルダを開いた。

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

あっは〜ん

 

件名 くんくんへ☆
From 真紅
本文

キャー
くんくんを悩殺なのだわ〜
私のあんな姿、見せたのはくんくんだけよ?きゃーっ

 

 

 

さすがの僕もブチ切れた。

 

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