件名 うっく……ひっく……く
to 真紅
本文

くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ

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真紅に本気で嫌がらせをしようと思い、今流行のひぐらしメポを送ってみた。
怪談に滅法弱い真紅のことだ、きっとその場で卒倒するだろう。
積年の怨み思い知れ!くけけけけけ!!

等と思っていたが甘かった。

 

件名 ピンボール?
From真紅
本文

うにゅ?
これは何かしら……?
……も、もしかして私への愛のメッセージ!?
さっすがくんくん、暗号で送ってくるなんてめがっさ痺れるのだわ〜

 

何だこいつ、こんなでっかい目がわかんねぇのかよ。
そう思い、改めて送信メールを確認してみて、気づいた。
僕は重大なミスを犯してしまっていたのだ。
どうやら、メポのAAが大きすぎて携帯画面に収まりきらなかったらしい。
送信履歴を見ると、AAが

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こんな風になっていた。
畜生、送る時点で気づけよジュン!
失意のあまり手を天高く掲げ、雷に打たれた様に立ち尽くす僕。
「もういい、僕なんか消えてなくなった方がいいんだ……」
願わくばこのまま風化して消えてしまいますように。
そんな思いを胸に秘め、僕はひたすら呪いの言葉(真紅あて)を呟いていた。

だが、さすがに30分も経つとこの体勢も疲れてくる。
それに呪う相手がいるってことは、この世に未練たっぷりじゃないか!
それはいかん。このまま朽ちるわけにはいかない。
「いいんだ、これでいいんだ」と自己を納得させる言葉をひたすら繰り返す僕。
そして79回目の「いいんだ」を呟いたとき、僕の頭に一つの妙案が浮かびあがった。
それはこの上なくポジティブな作戦案。
しかし、真紅に特殊能力がある以上意味を成さなかった、最高にして最強の矛。
だが、今思いついたこの方法ならいけるかもしれない。
それ即ち、真紅の携帯を……

もちろん、ハンマーを持って殴りに行くわけではない。
物理的に壊したところで、真紅に時間を戻されてしまえばそれでおしまい。
だが、内側からの破壊はどうか……?
直接目に見える損傷と違い、プログラムによる攻撃ならあるいは……?
つまり、コンピュータウイルスを使う。
奴の携帯にウイルスを送りこみ、内部からダメージを与え破壊するのだ。
しかし、上手くいくという保障は全くない。
何しろパケット代を巻き戻す位デタラメな奴だからな。
ウイルスも余裕で対処できるのかもしれない。
言ってみればこれは賭けだ。
失敗すればまた普段の絶望生活に後戻り。
無駄に変な希望を持たずに日々を生きていれば、傷つかずにすむ。
けれど……。

 

「傷つく事を恐れていては先に進「ジュンくぅん、紅茶が入ったわよー」

 

 

「このバカのりたまっ!!」
       (|) 
 /\○ │ 
   /\/                /\○  「な、なになに!?どうしたのよジュンくぅん!!」
\/\                      /\/
                      =\/\

 

 

通販で買った魔女っ子朔りん☆のまじかるステッキを投げつけ、なんとか姉を撃退する。
全く、いい場面なのに邪魔しやがって。
話を戻すが、僕はやる。
真紅の携帯を墓石、もとい破壊し、安息の日々を取り返すんだ!!
そうと決まれば、早速行動開始。
これは長いヤマになりそうだぜ……。

とか格好つけたものの、思ったより早くウイルスの準備ができてしまった。
所要時間わずか数十分。
いやぁ、恐ろしいね。ネットの力って。
まぁ、何はともあれ準備は整った!
早速これを真紅に送りつけてやる!!
PCから携帯にウイルスファイルを送信し、そこから真紅にメールを書いた。

 

件名 大発見!
to 真紅
添付ファイル 『ローゼンメイデントロイメント.exe』
本文

やあ真紅ちゃん!
ローゼンメイデンの核心に迫る調査ファイルを発見したよ!
だけど噂によると、ローゼンメイデンシリーズ以外の者が開こうとすると、酷いことが起こるらしい。
だからうかつに手を出せないんだ……。
そ・こ・で!
わが親愛なる真紅ちゃんに中身を確かめてほしいんだ!
よ・ろ・し〜くんくんっ♪

 

これでよし。
さて、どうなることや
「ひいぃぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜

息をつく暇もなく、恒例の真紅スクリームが響き渡る。
携帯を握り締める手が震えた。
臆するなジュン。
大丈夫、恐れることは何もない。
多分ない。
畜生、生き抜けジュン!(?)

『あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ……』

きた。
携帯が怪しい声を発しながら、不規則に振動した。
奴はちゃんとウイルスファイルを開いただろうか。

 

……いや、ちょっと待て!

 

あのウイルスは携帯のデータフォルダやアドレス帳をはじめとした全ての記録を消去し、メール画面が起動できなくなるという品物のはず……!
しかし、真紅はメールを送ってきている。
これが意味するのはつまり……。

 

件名 危ない危ない
From 真紅
本文

くんくん、危なかったのだわ!
これはトロイの木馬というウイルスで、開くと誰でも大変なことになるのよ。
まぁ、何にせよくんくんが開く前で良かったのだわ〜♪
きっと愛の力ね
私のハートがマキシマム(笑)

 

 

私のハートがマキシマム(笑)

 

 

 

私のハートがマキシマム(笑)

 

 

 

私のハートがマキシマム(笑)

 

 

「こいつマジうぜえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 

お前は僕を怒らせた。
僕は瞬歩の如くデスク前に立ち、PC画面を睨み、保志もびっくりの速度でプログラムを組み始めた。

 

「キャリブレーション取りつつゼロモーメントポイントおよびCPGを再設定……ちっ!なら擬似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結ニューラルリンゲージネットワーク再構築メタ運動野パラメータ更新フィードフォワード制御再起動伝達関数コリオリ偏差修正運動ルーチン接続システムオンラインブートストラップ起動!いけええええっ!!」

 

そしてウイルスが完成した。
僕の開発したウイルス、その名も『JAM2006〜薔薇なんていらねぇよ、夏〜』
このウイルスは非常に感染力が高く、しかも添付ファイル扱いではない。
なんとメールを受信した時点で感染してしまうという恐ろしいウイルスだ。
感染したが最後、データ類を全て消去した挙句、携帯の電源も二度と入らなくなる。
これなら真紅も避けようがあるまい。
これでやっと平和な日々が戻ってくるかと思うと、今から笑いが止まらない。
受信した時点で感染するわけだけれど、まぁ一応本文もつけといてやろう。
最後のメールだし、どんな文を送ろうか。
ちょっと考えてみる。

 

件名 なるほど!
to 真紅
本文

それは危なかったよ(笑)
真紅ちゃん、教えてくれてありがとう(笑)(笑)
おかげで助かったよ(笑)(笑)(笑)
むしろ開いてほしかった(笑)(笑)(笑)(笑)
まぁいいけどね(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)
今回も一応言っとくか(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)よろしくんくん(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)
どうだ嬉しいか(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)
もう一回いってやるよ(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)
よろしくんくん(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)(笑)

 

こんな感じだな(笑)
やはり目には目をだろう。
ハートがマキシマムは僕の人生で歴代3位に入る位にウザかったからな。
でもそれも今日で終わり!
早速作戦開始だぜ!!

 

 

 

「よし!とりあえず携帯にウイルスファイルを送って……って、あれ?携帯が動かな……」

 

 

 

自分の携帯が感染した。

 

 

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