今僕は限定販売通販の競りをしている。
「やめてよね。本気で競ったら、お前が僕にかなうはずないだろ 」
カチッ。
OK、落札完了。
この商品は、一目見てビビッときた。

宇宙から飛来した謎の隕石 大納言

今世紀最大の発見!
山田製薬がお贈りする、奇跡の商品です。
今月頭に農家に飛来した隕石を調べてみた所、何とさといもに成分がとても近い事が判明!
宇宙にもさといもがあったのか!これは何らかのメッセージなのか……!
人類が宇宙の謎をまた一つ解き明かしました。
これは人類の大いなる進歩といっても過言ではないでしょう。
隕石の飛来した農家の横内さん(107)からお話を聞きました。

「いんやまぁ、おったまげたべさー!普段と同じようにばってん畑さ掘ってさいたらばってん
なんと、さといもが出て来たんでがんす!もう心臓吹っ飛ぶかと思ったべやー!
爺さんと一緒に食べようと思ったんだけんども、何かばってんデラ小汚ぇでおましたんだべや。
したっけさ、山田さんとこが買い取ってくれるっちゅーもんだから、300円で売ったんさー
――え、うち?さといも農家だけんども、何か問題でもばってんばってん?」

このように、宇宙の神秘が余すことなく散りばめられた神秘の隕石!
限定1個の競売となります。
皆様、是非奮ってご参加ください!

開始値:1000円
終値:1405円(落札者「桜田ジョン様」)

 

「さといもじゃん」

長文読んで損した。
それにも拘らず落札してしまった自分を褒めてあげたい。
「じゅんー!」
いつも通り、雛苺が騒々しく部屋に入ってきた。
なにやら両手に砲丸らしき球体を持っている。
――早くも嫌な予感がした。
「お手玉やろー」
「何を抜かすかお前は」
うにゅ〜と項垂れている雛苺に、僕は10分かけて人道というものを説いた。
「――というワケで、それはお手玉に使う物じゃない」
「ん、これはお手玉用じゃないよ?」
そう言って雛苺は砲丸の玉を床に置いた。
そして、パシンと両手を合わせる雛苺。
すると2つの砲丸が眩い輝きを放った!

ピカーッ!

余りの眩しさに思わず目を閉じる僕。
そして再び目を開けたとき……目の前に力士の銅像があった。
このサイズはどう見てもドアからは入らない。

「ね、錬金術」

「ああもうバカ」

「元に戻さないと夕飯抜きな」
「ぶーぶー!」
さっさと逃げられる前に釘を打っておき、元の砲丸に戻させる。
自信作を否定された雛苺は、心底不機嫌そうだった。
「ぶー!ジュンはお手玉下手だから、ヒナに焼餅焼いてるのねっ!!」
「いやまだお手玉やってないから」
なによー!と言ってじたばたと転がる雛苺。
ああ止めろよホコリが出る……。
「――で、結局やるのか?やらないのか?」
「やるのー!」
もぞもぞとポケットからお手玉を取り出す雛苺。
良かった、今度は普通のお手玉だ。
「ジュン、見ててなのーっ!」
雛苺が、ぽいっと頭上にお手玉を放り投げる。
中に舞い上がったお手玉は、ふらふらときりもみ回転をしながら雛苺の頭に着地した。
「――下手くそ」
「い、今のは準備運動なのっ!」
雛苺が再度お手玉を放る。
再び天井付近まで放り投げるが、またしてもそれは雛苺の頭に着地した。
「うー…」
「貸してみろよ」
もどかしいので、僕は雛苺からお手玉を奪い取った。
手本を見せてやるためだ――っておい。
「何でこれこんなに重いんだよ!」
ずっしりとした重量感。
体育の授業で使う砲丸と大差ない重さだった。
「対人仕様なのー」
何のだよ。
いちいち相手にしていてはキリが無いので、とりあえず2個ゆりをしてみる。
ぽーんずっしりぽーんずっしりぽーんずっしり

「どう、ジュン?」
「重いよ」

一回ゆる度に腕に物凄い負担が掛かる。
こんな物を頭にぶつけて大丈夫なのかよ、雛苺は。
「ほいっ!」
どこから出したのか、雛苺がお手玉をもう1つ僕のほうに向かって投げる。

「お、おい雛苺!」

3つになってしまった。
咄嗟にキャッチして3個ゆりにシフト出来た僕は凄いのかも知れない。
しかし何とも手が痛かった。
「――もういいだろ、やめるぞ」
「あ、ちょっと待ってなの!」
雛苺が目を閉じて両手を合わせる。
――このパターンはまさか。
案の定眩しい光に包まれる僕。

――目を開けると、僕の手に竜彦と敬一の銅像が乗っていた。

「できたの〜♪」
「出て行け」

どうでもいいけど手が痛い。

 

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